匿名の皮を被った指殺人
本日14時頃、俳優の三浦春馬さんの自殺という大変ショッキングなニュースが衝撃とともに駆け巡りました。
詳しいことはまだ分からないものの、SNSの誹謗中傷が原因とみられています。
もし誹謗中傷が原因なのだとしたら、今年の5月に亡くなられた木村花さんのこともそうですが、彼もまた、匿名の、顔も名前も知らない人達の言葉の暴力に殺されてしまいました。
東出昌大さんの不倫問題が起きた際、三浦さんは以下のツイートをしたそうです。
「明るみになることが清いのか、明るみにならない事が清いのか…どの業界、職種でも、叩くだけ叩き、本人達の気力を奪っていく。皆んなが間違いを犯さない訳じゃないと思う。国力を高めるために、少しだけ戒める為に憤りだけじゃなく、立ち直る言葉を国民全員で紡ぎ出せないのか…」
私はこの言葉に、三浦春馬さんの思慮深さや温かさや誠実さ感じますが、解釈の一部だけを都合よく部分的に切り取れば、不倫した東出さんを擁護しているだけのツイートと判断して叩くこともできます。
それを匿名のSNSで自分の身を隠しながら相手に届くように声高にさけぶ。
幼稚で浅はかなことです。
言う方は本当に気楽です。何かのついでや家で寝っ転がりながらでも気軽に発言できる。
そして軽いストレス発散と優越感を味わえることでしょう。
しかし言われる方は見えない敵との戦いです。相手が何人いて、どんな人で、何を思っていて、どんな表情をしているのか全く分かりません。
私の周囲にも、対面している時には大人しいのにLINEだと少しキャラが変わる人がいました。
また、思ったこと(文句や悪口)を本人に直接言うのではなく、相手にも見えると分かっているSNSで言う人もいました。
仲のいい友達でも、LINEでは細かいニュアンスが伝わっていないと思うこと(温度感やスピード)、相手の表情が見えないと本音がよく分からないことがあります。
そういう時は、大事な話であれば電話やビデオ通話か直接会うようにしていますが…
日本人の、自分の話が相手に伝わっていない、あるいは自分が話を理解出来ていない、と認識する力は弱くなっていると思います。
今は、ネットを調べればすぐ、それっぽい答えに出会える。
すぐに答えを求めるので、立ち止まって考えることが少なく安直でわかりやすいものに飛びつきやすい傾向があると思います。
自分の興味や関心のある情報だけを入れて偏った理解をする。
同調圧力に乗っかり、自分と違う意見の人の人格までも全否定する。
理解出来ていないのではなく、相手がおかしい人だと片付けてしまう。
お隣の韓国では日本よりも著名人の自殺が急増しており、法整備を求める声も高まっています。
法整備も大事ですが、ネットの向こうに繋がる人間の顔を思い出して欲しい。
言う方は楽でも言われた方にはずっと残るんです。
気にしなければいいと言うけれど、言われた方はずっと苦しいままなのです。
先週も書きましたが、本当に怖いのはやはり人間でした。
コロナ禍と長引く梅雨で鬱屈としますが、誰でも指殺人者になりうることを忘れずにいたいものです。
三浦春馬さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。
深森