一隅で、寄り添う
「自分がやりたくないことをやりなさいと一方的に親に言われて嫌だった経験はない?」
「あります」
「いまそれと同じことが起きているよ。」
「なるほど・・・」
「低学年の子は自分の気持ちを言葉で上手に説明することは出来ない。だからこそ、傾聴や観察を通して、何気ない一瞬を見逃すことができないんだよ。僕がいつものほほんと過ごしているように見えるかもしれないけれど、そういうことを考えながら子どもたちと向き合ってるよ。」
一方的な指導で、子どもたちの心を遠ざけてしまった講師と真剣に話をした。普段はそこまで指導しないが、子どもたちとの距離感を客観的に見た時に教えるタイミングがきたと悟ったからだ。
子どもたち相手に慣れていない大学生がそのような仕事をすることは、ある程度時間をかけてきちんとした指導をしないと厳しいのが現実だと再確認できた。
それと同時に、子どもたちと寄り添うということはとてつもないハードルの上にあるのだということを認識した。思っていたよりも、高くそびえ立つ壁なのだと。
子どもに寄り添うためには、大きな心の風呂敷で包み込むイメージで、機微の1つ1つを拾い上げていくことが不可欠。それは経験や知識だけでは足りない、資質を土台とした役割への理解が肝心なのだと思い耽った。
この1年間、どれくらいの子どもたちの一隅を照らすことができただろうか。自分の資質を最大限に引き出し、向き合うことはできただろうか。
その答えを今、もらった言葉や絵や手紙から全身で受け止めている。
茶昊