自動化される料理
小さい頃からドラえもんの映画が好きだった。
もちろん話も好きだったけれど、映画で出てくる食べ物が好きで。ジブリもそうだけれど、料理がおいしそうな映画は記憶に残りやすい。
あれはドラえもんの何作目の映画だったか…
忘れてしまったけれど、食べたい料理がすぐ機械で作られる道具があって、便利でいいなぁと思った。
そこまでの道具はまだ現代にはないけれど、今ものづくりの現場でも機械化と自動化が進んでいる。最前線のビジネス領域では、ロボットアームの導入も検討されていて、省人化の流れは止まらない。
確かにロボットは良い。
人と違って労働基準法を適用する必要はない、文句もなければ機械同士で喧嘩もしない。マネジメントは楽。使えなくなったらお金さえあれば取り替えも簡単。
デメリットで真っ先に思いつくのは、故障した時のためにそれ用の資金を積み立てておかなきゃいけないこと。機械は経年劣化して買い替えと部品交換は必ず必要になる。
でも経年劣化を言ったら人間もある面はそう。
体力や代謝、脳の機能は加齢と共に落ちるだろうから、引き換えの何かを積み上げていかないと企業目線で見た時労働者としての価値は下がる。でも、正社員は簡単には切れないから、人を抱えるより機械を抱えた方が良い面があるのは事実かなと思う。何より人を採用して、その人のキャリアを会社の成長と照らしながらデザインする経営者やマネジメント層が抱える困難さと気苦労は果てしない。
それでも僕はひとを採用して、ひとと仕事をしたいなと思う。
パン作りはチームワークが欠かせない。
パン職人を派遣や業務委託などアウトソーシングせずに、企業がわざわざ社員として抱える1番の理由はこのチームワークにある。
烏合の衆が集まってもパンは作れるが、そのお店独自の味、焼き加減、食感や風味などの品質を安定的に毎日作れるか?と言われれば多分それはできない。しかもチームワークが悪ければ段取りや無駄な動き、ミスなども増えて生産性も落ちる。
同じ場所での毎日の積み重ねが大切になる。
心情面でも、機械化は随所で必要だけれど、それでもやっぱり人と仕事をして、仕事でチームワークを発揮するのは楽しい。
そして心情面の1番の理由はこれだけれど、
上司をやる喜びは、手塩にかけた部下が思ってもみない成長をしたときだと思っている。
部下が機械だけだったらマネジメントは楽かもしれないけれど、喜びはないし、雑務とお金のためだけに上司をやることになってしまう。
それは楽だけれど、仕事に感動がない。
作り手側の話をメインに書いてしまった。
しかし、消費者から見たらどうなんだろう。
社会が高度になって、ほぼ自動機械化で料理が可能になったときに、ひとがわざわざ料理を手作りしてひとに提供する意味はなんだろう。
まだ先の未来だけれど、いつか来そうな未来にその意味を問われると思う。
ドラえもんで出てきた便利な道具で作られた料理に、家庭の味やいつもの味、料理で感動する体験は味わえるのかな。
流清